【8月21日(金)開催】第171回香港和僑会定例会「コロナ下・国安法後の人事労務Q&A」開催報告
引き続き新型コロナウイルスの影響による集会規制が継続しているため、8月の定例会もオンライン開催となりました。今回の定例会では「法律」をテーマに当会の会員である二人の弁護士よりご講演頂きました。
最初に、阿久津裕美弁護士より「ストラクチャード・ファイナンス」分野の解説を10分間で説明して頂きました。ストラクチャード・ファイナンスは企業が行う事業そのものやその資産自体の価値に着目し、企業本体の信用力とは切り離された資金調達を可能にする方法として、日本国内では不動産(レジデンス物件、ホテル、物流施設)やプロジェクト・ファイナンス(太陽光発電、風力発電)で活用されることが多いとのことでした。一般人にはやや難解なテーマですが、阿久津先生より非常に分かりやすくご説明頂き、大変勉強になりました。
次に、宇賀神崇弁護士より「コロナ下・国安法後の人事労務Q&A」というテーマで約1時間ご講演頂きました。新型コロナウイルスの収束も見えず、さらに香港国安法が制定施行された2020年は、香港で事業を営む経営者の方々にとって、コロナウイルスと国安法に大きな影響を受ける1年になりそうです。とりわけ、従業員の労務管理は、日常的に頭を悩ませる問題です。
在宅勤務を命じることができるのか、仕事がないため休暇を取らせ、給料も支払わない措置が可能か、事業がうまくいかないから賃金を引き下げたり、解雇したりすることができるのか、職場で従業員が国安法反対を唱えだしたらどうするか、国安法違反で従業員が逮捕されたらどうなるか、などなど。こうした疑問に、東京と香港の法律事務所で労働法務を経験した宇賀神先生よりご説明頂きました。
万が一、国安法違反で逮捕された場合の対応方法ですが、警察署で話せば分かってもらえるとは考えず、合言葉は「Keep Silence」=黙秘を貫き、可及的速やかに弁護人=香港ソリシターを選任し、取調べに同席させる必要がある、弁護人のつてがなければ、宇賀神先生に即報してください、とのことでした。
コロナウイルスも国安法も先が読めない状況が続いておりますが、香港和僑会として大変心強い弁護士の先生方が会員となって頂いていることで、少し希望の光が見えてきたように思います。